2012年9月22日
申 入 書
9月10日、野田政権が尖閣国有化を決定して以降、とみに日中の関係が悪化しています。尖閣諸島の日本編入の1895年(明治28年)1月14日は日清戦争中のことであり、日清戦争後の台湾領有、澎湖諸島領有とともに、領土拡張政策の一環として行なわれたものです。尖閣諸島を「日本固有の領土」などと主張できものではありません。
アメリカ・イギリスは「イラクには大量破壊兵器がある」などと攻撃理由を挙げイラクを一方的に攻撃しました。偽りの開戦理由でイラク攻撃が行なわれ、空自小牧基地隊員もイラクに派兵されました。日本の自衛隊はイラク攻撃の根拠の真偽を確認することができなかったのでしょうか。このことも検証してください。
航空自衛隊小牧基地司令 荒木淳一様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様
1943年11月22日から26日まで、カイロで会談したアメリカ、イギリス、中国の首脳は翌12月1日、カイロ宣言を発し、日本に無条件降伏を要求しました。1945年7月17日から8月2日までポツダムでアメリカ、イギリス、ソ連の首脳が会談し、ポツダム宣言が採択されました。7月26日アメリカ、イギリス、中国の三国は日本政府にポツダム宣言受諾・即時無条件降伏を突きつけました。7月27日に鈴木首相は黙殺を表明しましたが、8月6日、アメリカ軍が広島に原爆を投下し、8日にソ連が日本に宣戦布告し陸海空から満州の日本軍を攻撃し、翌9日アメリカ軍が長崎に原爆を投下した。ついに日本首脳部は14日に御前会議を開き、天皇がポツダム宣言受諾を決定し、翌15日正午、「大東亜戦争終結ノ証書」の音声がラジオを通じて流された。9月2日、戦艦ミズーリ号の甲板において重光葵外務大臣が降伏文書に調印し、大日本帝国は潰えさリマした。
カイロ宣言は、「満州、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国に返還スル」ことを定めており、ポツダム宣言は、カイロ宣言の規定を履行すべきことを定めています。
ポツダム宣言は「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並二吾等ノ決スル諸小島二局限セラルへシ」と定めています。日本はこのポツダム宣言を受諾しており、日本はこの規程に従うことになり、本州、北海道、九州、四国以外の諸小島については日本が領有(主権)を決めることはできません。尖閣諸島を「日本の固有の領土」と日本政府が言い張っても、決めるのは日本政府ではなく、連合国(アメリカ、イギリス、ソ連、中国)ということです。
日清戦争中に尖閣諸島を日本政府が閣議決定で編入を宣言し、日清戦争によって尖閣諸島の隣に位置する澎湖諸島、そして台湾を割譲した歴史的事実から、中国はカイロ宣言に基づいて、尖閣諸島は「台湾及澎湖諸島ノ如キ日本国カ清國人ヨリ盗取シタル一切ノ地域」に含まれるとしています。
尖閣諸島の領有(主権)を決めるのは日本政府ではないということ、そして竹島の領有についても同様で、竹島の領有権を決めるのは連合国であって日本政府ではありません。
ここでは尖閣諸島、竹島と記載しましたが、江戸時代を通じてそれらの島々は日本の領土ではありませんでした。
中国における反日デモの激化はこのような戦後日本の置かれた立場を明確に日本国民に説明せず、この期に及んでも尖閣諸島と竹島を「日本固有の領土」と政府広報で流布し、領有を主張したことによるものです。尖閣諸島の3島を民間人所有者から東京都が購入するとか、日本政府が所有するなどということはカイロ宣言及びポツダム宣言を読めば、およそできない所業です。自民党政府は戦後日本の出発を知っていたからこそ尖閣諸島の領有権をそおっとしておき、独島(日本では「竹島」と呼ぶ)も韓国の実効支配をそのままにしてきたのでしょう。民主党・野田政権がこれを弄った以上、カイロ宣言とポツダム宣言に立ち返って、領土問題の解決を改めて図らなければならなくなりました。
この領土問題も南京大虐殺も日本軍「慰安婦」の問題も、実は根は同じで、明治、大正、昭和20年までの70年間の日本の対外侵略の歴史から生じたもので、解決のためには歴史を踏まえ(知り)た上で、どうのように友好関係を作り上げていくのかという、極めて現代的で国民的課題があります。戦後67年、解決すべき問題は、解決するまではずうっと残り、決して消えるものではないということです。
イラクに派兵された空自隊員の活動はアメリカ軍と一体となって行なわれ、イラクの国民を敵とみなしたもので、空自隊員自身が爆弾を投下したわけではないけれども、日本政府の派兵命令によって日本とイラクの歴史に汚点を残してしまいました。
きちんと検証し、自衛隊の立場から、なすべき課題を明らかにしてください。そして空自小牧基地の皆さんが再び海外派兵されることのないように、自衛隊イラク派兵を検証してください。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局
社民党愛知県連合 平山良平
西尾市高畠町4-75-3