2012年4月28日
        申 入 書

1954年6月2日、参議院本会議に於いて、「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議 本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照らし、海外出動はこれを行わないことを茲に更めて確認する。」と決議しました。1991年以降、時の政府によって自衛隊の海外派兵が命じられ、原点である憲法第9条及び参議院の「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」が無視され、事ある毎に海外派兵という風潮が作り出されてきました。自衛隊員の生存権を脅かし、ひいては国民全体を戦争体制に引きずり込む動きです。空自小牧基地のみなさんこそ、原点からイラク派兵を検証してください。

航空自衛隊小牧基地司令 荒木淳一様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

「海外出動を為さざることに関する決議」の趣旨説明の、後段の5分の1において「自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきものであります。幸い我が国は島国でありますから、国土の意味は、誠に明瞭であります。故に我が国の場合には、自衛とは海外に出動しないということでなければなりません。如何なる場合においても、一度この限界を越えると、際限もなく遠い外国に出動することになることは、先般の太平洋戦争の経験で明白であります。それは窮窟であっても、不便であつても、憲法第九条の存する限り、この制限は破つてはならないのであります。外国においては、過去の日本の影像が深く滲み込んでいるために、今日の日本の戦闘力を過大評価して、これを恐るる向きもあり、また反対に、これを利用せんとする向きも絶無であるとは申せないと思うのであります。さような場合に、条約並びに憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。故にその危機を一掃する上からいつても、海外に出動せずということを、国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのであります。何とぞ満場の御賛同によつて、本議決案の可決せられんことを願う次第であります。」と述べられています。
2月20日、河村たかし名古屋市長が南京市の共産党市委員会常務委員ら一行に対して「通常の戦闘行為はあって残念だが、南京事件というのはなかったのではないか」と述べました。
 南京大虐殺とは、1937年の日本軍の南京攻略戦と南京占領時における中国軍民に対して行なった戦時国際法と国際人道法に反した不法残虐行為の総体のことです。侵略戦争の計画・実行に関わったA級戦犯を裁いた1948年11月4日の極東国際軍事裁判(東京裁判判決)は「日本軍が占領してから最初の6週間に南京とその周辺で殺害された一般人と捕虜の総数は、20万以上であったことが示されている。・・・これらの数字は、日本軍によって、死体を焼き棄てられたり、揚子江に投げこまれたり、またはその他の方法で処分されたりした人々を計算に入れていないのである。」と判決し、BC級戦犯を裁いた南京戦犯軍事法廷は1947年3月10日、「その犠牲者総数は合計30余万人である」と判決しました。1951年9月8日に日本と連合国と調印したサンフランシスコ講和条約11条(戦争犯罪)には、「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の判決を受諾し、」と明記されており、極東国際軍事裁判所の判決、南京大虐殺について裁いた南京戦犯軍事法廷判決の受諾を求めたこのサンフランシスコ講和条約の調印によって日本は戦後の国際社会に復帰することができたのです。
戦後日本の原点です。
 戦後、日本政府は湾岸戦争直後のペルシャ湾への掃海部隊の派兵を初めとし、現在は南スーダンにも自衛隊を派兵しています。最新の報道では、その南スーダンとスーダンが国境の油田地帯をめぐり武力衝突を起こしているという。
 河村たかし名古屋市長は南京陥落後の大虐殺を知ろうとせず、サンフランシスコ講和条約調印による戦後の再出発を理解せず、父親が敗戦時に南京市民に温かくしてもらったから、南京大虐殺はなかったではないか、あったらそんな温かくもてなすわけがないと思い込んでいる。中国国民党政府も内戦後政権を取った中国共産党政府も日本政府に政府として戦争賠償請求権を放棄しています。「怨みに報いるに徳で以てする」という寛大な政策をとり、中国政府も人民も、一人河村市長の父親だけを温かくもてなしたわけではないのです。
 徳川家康は秀吉の朝鮮出兵の後始末は朝鮮通信使を招聘することによってなし、対外侵略戦争の準備もせず、国内においては軍縮政策をとり267年間の泰平の世を築きました。しかし明治政府は琉球処分、台湾出兵、江華島事件を立て続けに起こす対外侵略政策をとり、日清戦争以後は10年に一度は大きな戦争を仕掛け、日中全面戦争、アジア太平洋戦争の敗戦まで70年余、内外に大きな犠牲を強い、ついに大日本帝国は滅びました。
 海外派兵かそれとも軍縮・平和か、歴史と原点を学びたい。
 空自小牧基地のみなさんは海外派兵拡大ではなく、軍縮・平和の観点でイラク派兵を検証してください。
           <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
             社民党愛知県連合 平山良平
             西尾市高畠町4-75-3