2011年12月24日
        申 入 書

報道によれば、2011年12月14日、オバマ大統領はノースカロライナ州のフォートブラッグ陸軍基地で帰還兵を前に「ウエルカム・ホーム(お帰りなさい)」と呼びかけ、「数日中に最後のアメリカ軍部隊がイラクから出国を始める。アメリカ軍の歴史で最も特別な章の一つが幕を閉じる。イラクの未来はイラク国民の手に委ねられ、イラクでのアメリカの戦争は終わる。」とイラク戦争の終結宣言を行ないました。15日、バクダッドで、アメリカ軍旗の降納式典があり、アメリカ軍のイラクからの完全撤退が進んでいます。
3年前の12月のちょうどこの時期にイラクから撤退した空自隊員、空自小牧基地の皆さんこそ、自衛隊のイラク派兵を検証してください。

航空自衛隊小牧基地司令 荒木淳一様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

毎日新聞は、オバマ大統領の演説を「戦争終結は開戦よりも難しい。イラクには困難も待ち構えているが、われわれは安定し、民衆に選ばれた政府を持つイラクを後にする。これは大きな業績だ。戦争の代償を肝に銘じている。3万人以上が負傷し、4500人近くが犠牲になった。イラク復興に何年も費やした今、アメリカの再生に帰還兵の手を借りたい。教育や職を得られるよう全力を尽くす。政治家や歴史家はイラク戦争の教訓を分析し続けるだろう。最も大切な教訓は、アメリカ国民が一致団結すれば、乗り越えられない困難はないということだ。アメリカを強くし、世界を平和にする形で戦争に終止符を打つことができるのは君たちのおかげだ。イラク戦争は間もなく歴史の一部になる」と要約して報じました。
世界の多くの人々の“イラク攻撃をするな”の声を無視し、「イラクには大量破壊兵器がある」「アルカイダとフセイン大統領とは関係がある」との理由を以ってブッシュ大統領が2003年3月20日にイラク攻撃を開始しました。これがアメリカ兵3万4500人余の死傷の原因です。イラク国民の死傷者数はアメリカ兵の10倍では済まないでしょう。一方的な攻撃を受け破壊されたイラクの建物は数知れません。開戦理由とされた「大量破壊兵器」も「アルカイダとの関係」も捏造された情報でした。
イラク石油省の建物は攻撃対象とせず、無傷で残し利用し、イラクの石油全体をコントロールしたことに象徴されるように、ブッシュ政府がやったことは戦争で儲けることでした。武器弾薬を大量に使い軍需産業を儲けさせ、復興で建設業者に儲けさせ、イラクの石油のコントロールでアメリカの石油業界を儲けさせることでした。
だからこそ、時のオバマ候補はこのブッシュ大統領のイラク攻撃を批判し、“チェンジ”を訴え、大統領選挙に勝利しました。
今回のオバマ大統領のイラク戦争終結演説では、イラク攻撃を真摯に検証し、アメリカ社会への教訓を引き出すことはないでしょう。
ブッシュ大統領のあの2001年9月11日の世界貿易センタービルの崩壊事件を理由にしたアフガニスタン攻撃もイラク攻撃同様、攻撃(戦争)することが目的です。ビルに突っ込んだ飛行機の燃料が燃えてビルの鉄骨が熔解し、ビル全体が崩壊したとの見解は不合理です。生存した消防士たちは崩壊前に地下での爆発も体感しており、ビル解体用の高性能爆薬・テルミットの残存物も発見されており、ビル設計者は飛行機の衝突をも想定して網の目状に鉄骨を接合させ建設させています。ビル崩壊は飛行機燃料の燃焼ということになっていますが、きちんと現場検証をせず、ビルの残骸を鉄骨を含めそそくさと撤去したのは証拠隠しでしかありません。
ブッシュ大統領の始めたアフガニスタン攻撃もイラク攻撃もアメリカ政府はきちんと検証していません。世界貿易センタービル崩壊・アフガニスタン攻撃を冷静に検証することができたならば、イラク攻撃は防ぐことができたかもしれません。何よりもきちんと検証することが大切です。
検証を主張せず、返って「対テロ戦争」に国民を誘導し熱狂させたアメリカの寡占化されたマスコミのあり様ももちろん検証の対象です。
アメリカと一緒にイラク攻撃をしたイギリスは検証委員会をつくり、攻撃を主導したブレア元首相も証人として尋問を受けています。同じ間違いで自国兵士や他国民を戦争被害者にしないためにです。
明治政府の1875年9月の軍艦雲揚号による江華島事件以降、1945年8月の敗戦までの70年間の侵略戦争に対する自国民の反省として、そしてアジア諸国への平和の証文として憲法9条はあります。9条が戦争をしない国是であり続ける限り、自衛隊が戦争をせず、自衛隊員が戦死することはありません。
だからこそ、空自小牧基地の皆さんは自衛隊のイラク派兵を検証してください。アメリカと一緒になって戦争への道を歩まないために。

            <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
              社民党愛知県連合 平山良平
              西尾市高畠町4-75-3