2011年11月26日
        申 入 書

2011年12月末でイラク駐留アメリカ軍は完全撤退します。「イラクには大量破壊兵器がある」などと理由を挙げ、一方的にイラクを攻撃したアメリカ軍が撤退します。軍需産業などの利益のために戦争をするアメリカ政府は、オバマ政権となりましたが、イラク攻撃を始めたブッシュ政権と同じで、イラク攻撃についての検証をすることはないでしょう。
空自小牧基地の皆さんは自衛隊のイラク派兵を検証してください。

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

10月25日、「米軍属、日本にも裁判権 地位協定運用見直し」の見出しを朝日新聞は朝刊の1面に掲げました。日米地位協定の改訂ではなく、運用の見直しによって、日本人が死亡するなどの被害を受けた場合、日本に裁判権の行使ができるよう考慮されるようになったということで、日本が一次的に裁判権をもつわけではなく、アメリカの治外法権が続きます。
イラク特措法によって空自隊員が派遣され空輸任務が開始された2004年3月から2008年12月までの58ヶ月間の間、派遣自衛隊員はクウェート及びイラクに駐留しました。派遣自衛隊員は、イラク国内においては連合国暫定当局命令17号によってイラクの刑事、民事、行政法の適用を受けず、イラク側に逮捕、拘束されることはありませんでした。同様な特権をクウェート政府に認めさせていました。イラク及びクウェートにおいて自衛隊員が当該国の法を犯すような事件があったということを聞いていませんが、今回の沖縄のアメリカ軍軍属のような自動車死亡事故を派遣自衛隊員が起こしていても、イラクやクウェートで裁判にかけられることはなく、派遣自衛隊員の犯罪は日本の国外犯にも該当せず処罰されないという。
在日アメリカ軍兵士の犯罪が日本の裁判所で裁くことができない地位協定と同様な特権がイラク派兵の自衛隊員に付与されていたことをこの「地位協定運用見直し」報道をきっかけで知るにいたりました。
日米修好通商条約のもつ治外法権の撤廃、関税自主権の回復に明治の政治家が30年かけて努力したその一方で、日本政府は1875年江華島事件を起こし武力で朝鮮国に日朝修好条規を調印させ、朝鮮国を植民地にする歩みを始め、以後、日清戦争、日露戦争によって朝鮮半島から中国東北部を日本国の影響下に置く方策を推し進め、1931年9月に柳条湖事件を起こし、翌32年に「満州国」を建国しました。
1937年の盧溝橋事件後、近衛内閣は「暴戻なる中国軍を懲らしめる」という声明を発し日中全面戦争に突入し、8月、この名古屋の第三師団は四国善通寺の第十一師団とともに上海に派兵され、中国国民党の精鋭部隊と戦火を交え、2ヶ月余の戦闘で部隊が全滅するほどの戦死傷者をだし、中国軍民を死傷させました。戦況打開のため増派し、中国軍の背後に上陸した日本軍によって上海の中国軍は総崩れとなり、首都南京に向け敗走しはじまた。74年前の11月下旬の日本軍は中国軍を追撃するための進め進めの命令と弾薬は受けたが、食糧の補給はなく、行く先々の民家の食料を「現地調達(略奪)」していった。12月13日の南京陥落後、日本軍は捕虜をとらない方針のもと、軍服を着た投降兵はもちろん軍服を脱いだ者や南京の住民をも連行し、多くは長江(揚子江)岸に連行し機関銃で撃ち殺し、流した。
1931年9月の柳条湖事件以後“15年戦争”の渦中にあった中国、日本が起こしたアジア太平洋戦争の最大の被害国であり、戦勝国でもある中国国民党蒋介石総統は、日本が降伏した直後に、“怨みに報いるに徳で以ってせよ”と布告し、日本兵と日本人に対する仕返しを禁じ、戦後も日本に賠償金を求めませんでした。その後の国共内戦に勝利した中国共産党の中華人民共和国政府も国民党政府同様、中国政府としては日本国に賠償を要求せず、日中の友好を求めました。
太平洋戦争の戦勝国の一つであるアメリカ政府は日本政府と安全保障条約を結び、地位協定でアメリカ兵、軍属に対する裁判権を日本政府から奪い、今日までに至り、24日、その運用で、日本が裁判権を行使できるよう考慮されるようになったという。アメリカ軍兵士・軍属による被害の最も多い沖縄の人々は、日本に一次的な裁判権がなく、犯罪の抑止にも到底ならないこの不平等な日米地位協定そのものの見直しを求め続けています。
2003年3月20日以降、イラクはアメリカ・イギリス軍によって一方的に攻撃を受け、占領・統治のためフセイン大統領宮殿とイラク石油省以外の官庁ビルをはじめ国民生活に必要な社会施設が破壊され、多くのイラクの人々が殺傷され、隣国に難民として脱出した人々を含め、生き残った人々は苦難の日々を強いられてきました。苦節の8年10ヶ月です。アメリカ軍完全撤退後は、地位協定のない新たな主権国家イラクの誕生です。
 イラク占領のアメリカ兵と同様な不逮捕特権を与えられたイラク派兵の自衛隊(員)についても、検証してください。

             <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
               社民党愛知県連合 平山良平
               西尾市高畠町4-75-3