2011年8月27日
        申 入 書

敗戦後66年、ウランの核分裂による原子爆弾を投下された廣島、プルトニウムの核爆弾を投下された長崎、5ヶ月半前の福島第一原発1号機、3号機の水素爆発による放射性物質の飛散と被曝、再び三度、今度こそ起こすなと決意を新たにします。
自衛隊のイラク派兵で、派兵された自衛隊員はイラクの地にあって砂塵とともに舞いあがる劣化ウランの微粒子による被曝はなかったでしょうか。被曝について派遣隊員とその家族を調査検証してください。

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

オバマ大統領が08年の大統領選挙で『チェンジ!』を掲げ、ブッシュ共和党政治の流れを変えようと訴え、選挙戦に勝利しました。翌09年1月に華々しく、第44代大統領となりましたが、就任後2年半、今『チェンジ!』したといえるような成果があるのでしょうか。イラクからの撤退やアフガニスタンからの完全撤退はなお道遠しです。アフガニスタン攻撃とイラク攻撃の検証さえしていません。アメリカは軍需産業が巨大化して、戦争をやめる政策ができず、その結果の国民の貧困と国家の財政難です。
財政再建についての有力議員であるトム・コバーン上院議員は、最近、ヨーロッパとアジアの駐留アメリカ軍について3分の1に削減することが不可欠で、在沖縄海兵隊の本国帰還も唱えています。フォックステレビ番組で、「国防も重要だが、アメリカ国民の生活を守るのはより重要で、高齢者の健康保険を削るより、海外に駐留しているアメリカ軍を縮小することが当然」と言っています。
破壊力と被曝の甚大さから“二度と原子爆弾を使ってはならない”という意味で“ノーモア ヒロシマ”、“ノーモア ナガサキ”が世界に向けて発信されています。
福島第一原発の水素爆発によって放射能汚染が拡大しています。いまだに放射性物質は原子炉から拡散しています。空気や食べ物から放射性物質が取り込まれた結果の内部被曝がこの先、確実に進んでいくと思われます。福島原発事故は収束していません。60歳を過ぎた私はいさ知らず、放射線被曝による影響をより受ける子どもたちの行く末が案じられます。25年前のチェルノブイリ原発事故の影響で、ウクライナでは0歳から18歳の健康障害が多いと聞きます。
イラクでは1991年の湾岸戦争と03年のアメリカ軍とイギリス軍によるイラク攻撃で使われた劣化ウラン弾による放射線障害、とりわけ小児ガンが多発しているという。この放射線障害はイラクの国民ばかりではなく、参戦させられたアメリカ軍兵士及びその家族にも影響を与えています。同じイラクの砂塵舞う空気を吸っていれば、当然といえば当然ですが、放射性物質は人を選ばず、人体に取り込まれていきます。その影響は乳幼児、子どもほど多く受けてしまいます。この劣化ウランは原発のウラン燃料の製造過程で出る副産物です。
04年1月から陸上自衛隊員も航空自衛隊員もイラクへ派兵されました。1期で3か月間、それでも空自隊員は、サマーワの砂漠に作られた基地に派兵された陸自隊員と比べ、劣化ウランの内部被曝は少ないでしょうが、いずれにしても陸自、空自隊員とその家族への放射線障害が“全く無い”ということは無いでしょう。
原子力発電を「核の平和利用」などと言う人がいます。原子力発電が、日常的に原発で働く労働者を被曝させ、定期点検では多量の放射線を浴びる労働をさせ、今回の福島原発では高放射線量の中、おそらく寿命を切り刻むような業務に従事していることでしょう。こうして発電され、事故が起きればあの東京電力でも到底補償できない損害をもたらす原発、しかも使用済み核燃料棒の処理もできません。ただただ冷却して保管しておくだけ、その保管場所もなくなり、福島第一原発では原子炉建屋の3階や4階に保管していました。そこから水蒸気とともに放射性物質が大気中に拡散しています。
福島原発の事故、その収束もできず、放射性物質は風に乗り、広範囲の土壌を汚染し、海水を汚染し続け、農作物を汚染し、結果として人体の内部被曝がすすむなかで、なお、原発を稼動推進しようとする人々がいます。それを進めることで経済的利益を得んがためでしょう。戦争で利益を得ることと同様です。
国策としての自衛隊イラク派兵、出動命令による福島原発事故での放水作業、そして災害からの復旧作業です。だからこそ、放射線被曝を含めたイラク派兵と東日本大震災での活動の検証をしてください。自衛隊員は単なる駒ではありません。個人であり、家族の一員です。被曝者をつくらないためです。“ノーモア ヒバクシャ”です。

             <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
               社民党愛知県連合 平山良平
               西尾市高畠町4-75-3