2011年6月25日
申 入 書
福島第一原発事故の主因は「電源喪失の事態は想定しなくともよい」との安全確保を放棄したことで、巨大津波はその誘因です。政府も検証作業を進めていますが、この核心については変わることはありません。
自衛隊イラク派兵について、検証されていますか。空自のイラク派兵の核心は何ですか。再び海外派兵で隊員が窮地に陥らないために。
航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様
原発は自民党政府・経済産業省と原子力産業、そして電力会社によって主導され、廃炉を含めれば国内に58の原発が作られてきました。
3月11日の地震・大津波によって福島第一原発が電源喪失の事態に陥り、原子炉を制御できないまま、1号機、3号機が次々水素爆発を起こし、放射性物質が大気中にばら撒かれ、大量の放射能汚染水が太平洋に投棄されました。今なお事故原子炉から出る水蒸気に混じって放射性物質が放出されています。
原発が炉心溶融に至る事故を起こすと、今回のように水で冷やし続けることしかできません。原子炉及びそこから出る放射性物質を封じ込めることができませんでした。それらの放射性物質の人類及び他の生物の組織・細胞そして遺伝子に及ぼす影響は被曝量に応じて甚大となり、原発事故による放射性物質の拡散は地球規模であり、放射性物質の核種によっては何年どころか何十年、何百年、あるは何万年たっても放射線を出し続けるといい、それは人類が確認できないほどの永い時間です。使用済み核燃料の処理もできず、冷やし貯蔵するだけです。これとて、今なお放射能を出し続けています。青森県六ヶ所村の核燃料貯蔵施設もそれです。
水力発電、火力発電、風力発電、地熱発電、太陽光発電などなど、発電は原発だけではありません。原発が今回のような事故を起こせば、一電力会社で損害を補償できる規模では到底ありません。この期に及んでも原発を廃炉にせず、原発推進、再稼動の道をとるのは「狂気の沙汰」でしょう。
1945年8月15日は日本の敗戦の日であり、これは明治、大正、昭和と、それこそ70年間に亘る朝鮮半島からアジア太平洋へと侵略戦争を拡大し、各国の抵抗と反撃、そしてアメリカ軍による無差別都市爆撃、決定的には広島、長崎への原爆投下によるものです。敗戦後、日本は焼け野原から、再び戦争をしない国、日本へと生まれ変わろうと、憲法で「戦争の放棄」を宣言しました。しかし、朝鮮戦争を機に、日本政府はアメリカ政府の求めに応じ、警察予備隊、保安隊、そして自衛隊を作り上げてきました。自衛隊の海外派兵の要求もその中の一つです。
6月17日、朝日新聞は「ウイキリークス」から提供を受けたアメリカの公電を報道しました。「米 アフガンにヘリか軍民チームを」「自衛隊の人的貢献要求」との見出しです。折からの洞爺湖サミットでブッシュ大統領の「(陸自の)CH47大型輸送ヘリを派遣するか、軍民一体型のPRT(地域復興チーム)を担当するか」と具体的な求めに対し、その当時の福田首相は「陸自の大規模派遣は不可能」と返答したという。
この公電は、福田首相の「陸自の大規模派遣は不可能」との決意と見識を伝えたものですが、当時は空自がイラクで米兵の空輸活動をしており、これに加え、陸自をアフガニスタンに派兵していたら、陸自隊員の「戦死」も想定されたことでしょう。
福島第一原発の炉心溶融・水素爆発事故から真っ先に学んだのはドイツであり、イタリア国民です。炉心が融ける事故が起きたら手に負えない。だから古い原発から廃炉にしていく。“脱原発”にエネルギー政策を転換していくという。
原発は事故のときだけでなく、普段も、定期点検時も、原発労働者を絶えず被曝させています。福島原発事故は周辺を人の住めない地域にし、汚染地域となった、特に子どもたちへの放射線による影響は将来に亘って懸念されます。原発だけが発電所でないにもかかわらず、この期に及んで原発を推進しようとする人は原子力産業など、原発で直接利益を得ている人でしょう。
イラク攻撃、アフガニスタン攻撃、二つとも「戦争」と呼ばれますが、ブッシュ大統領が主導するアメリカ軍による一方的な攻撃です。ブッシュ大統領が進めたこの二つの「戦争」と日本の原発の共通点があります。背後に「戦争」や「原発」を産業としている集団が存在することです。方や軍需産業、もう一方が原子力産業です。
政策決定への強力な影響力はありますが、戦争や原発事故の責任を負おうとはしていません。
福島第一原子力発電所事故から多くを学び“ノーモア福島”の道を日本が、そして人類全体が歩むべきでしょう。
航空自衛隊小牧基地の皆さんは、イラク派兵について“ノーモア自衛隊海外派兵”となるべき優れた検証結果を出してください。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局
社民党愛知県連合 平山良平
西尾市高畠町4-75-3