2011年5月28日
        申 入 書

地震・津波によって福島第一原発の炉心冷却機能が失われ、その後の炉心溶融と続く水素爆発によって放射性物質が大気中へ大量放出され、海へは大量投棄されました。福島原発は日本そして世界中に大きな放射能被害をもたらしています。原発事故の検証も始められるでしょう。
航空自衛隊小牧基地は空自のイラク派兵を検証してください。

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

東京電力は福島第一原発事故の実態を小出しに発表しています。事故を重大事故と見せないように事故実態を隠してきました。事故の評価尺度も「レベル4」からチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に訂正し、1号機から3号機まで炉心溶融・世に言うメルトダウンも起こしていたと2ヶ月もたってから発表しました。放射能汚染の大きい双葉町や飯館村ではもう人の住めない地域になるのではといわれています。
“電源喪失の事態は想定しなくてもよい”、“日本の原発では炉心溶融、水素爆発、圧力容器の破損、格納容器の損傷はない、原発は安全である”、“原発が停止すると電力不足・停電が起こる”などなどなど、原発を推進・拡大のための宣伝が学校教育からテレビ宣伝まで多くの情報伝達手段を使って行なわれてきました。
この福島原発事故では放射性物質の放出は今も続いています。事故対応に懸命に従事している原発労働者はそのたびに放射線被曝を受けています。高い放射線量に阻まれ終息への事故対応は遅遅としています。定期点検時でも大変ですが、事故があればこれほどまでに原発労働者に被曝を強いる原子力発電は、その存在理由を問われています。増え続ける使用済み核燃料・死の灰の処理と管理ができない以上、原発はもはや停止から廃炉への道しかありません。
原子力発電でなければ電気がつくれないわけではないのに、原発を建設し稼動させることによって利益を得る一部の人々のために原発が推進されてきました。その結果、世界一高い日本の電気料金が利用者に押し付けられています。まさに一部の人の利益のためです。この間、原発と事故の危険性に警鐘を鳴らしてきた人々がテレビに出演できないよう画策されてきたようです。
5月6日、菅首相は浜岡原発のすべての操業停止を中部電力に要請しました。東海地震の震源域の真上に立つ浜岡原発は地震対策と津波対策が十分でないことを理由にしました。浜岡原発が福島第一原発のような事故に見舞われると、アメリカ軍の横須賀基地や横田基地が使えなくなると国防総省や国務省筋からの要請もあったという。
福島原発事故・放射能汚染を目の当たりにすれば、原発と福島県民の生活を天秤に懸ければどちらが重いか明らかです。浜岡原発と首都東京、若狭湾の原発群と福井県そして愛知県など、原発と人々の生活とどちらが重いか天秤に懸けられるでしょう。
“原発は何重にも安全対策がされており重大事故につながることはない”、“原発は安全である”というデマを流し続けてきた歴代の自民党政府と東京電力など電力会社の責任追及がされなければなりません。検証です。
原発の事故現場で放射能を浴び、放射線被曝をうけ、命を削って事故対応に当たるのは原発労働者です。会社の首脳部、原子力保安院の職員、原子力安全委員会の委員らが被曝しつつ現場で陣頭指揮を執っているのではありません。
事故発生当初、水素爆発によって原子炉建屋上部が吹き飛び、原子炉冷却のために現場に駆けつけたのは東京消防庁の職員、そして自衛隊員です。ヘリコプターから海水を投下散水したのも自衛隊員です。原発周辺の津波被災地での遺体捜索にあたったのは地元消防団、警察官そして自衛隊員です。原発は安全だとデマを流し続けることを指示した者たちでも直接宣伝した者たちでもありません。
“イラクには大量がある“と“原発は安全である”はともに政府が流したデマです。軍需産業や「アメリカの国益」のためにデマが作られ、そして始められたイラク攻撃によって多くの人々が傷つき仆れました。原子力産業の利益と「国の方針」のもとに“安全”デマを垂れ流しつつ操業していた原発は、地震と津波によってその危険性が誰の目にも明らかとなりました。福島に直接的な災難をもたらし、放射能汚染を地球規模で拡大しています。

福島原発事故の再現を防ぐという意味で、中部電力浜岡原発の操業停止は、一つの優れた検証結果です。
航空自衛隊小牧基地はイラク派兵について優れた検証結果を出してください。小牧基地の隊員がアメリカの作った戦地に今後派兵されることのないために。

             <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
               社民党愛知県連合 平山良平
               西尾市高畠町4-75-3