2011年4月23日
申 入 書
航空自衛隊C130H輸送機3機と隊員をイラクに派兵してから7年余、帰還してから2年と4ヶ月になろうとしています。
福島第一原子力発電所の津波にかかる人災事故を契機に、航空自衛隊小牧基地は空自のイラク派兵を検証してください。
航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様
8年前、「イラクには大量破壊兵器がある」などの情報を理由に当時のブッシュ大統領とブレア首相はアメリカ軍とイギリス軍を動員し、イラクを一方的に攻撃しました。多くのイラク国民が死傷し、官庁、学校、病院、水道施設など社会基盤が破壊され、さらには宗派対立が煽られたことから身の安全を守るため、イラク国外へ200万人が避難したという。
東京電力は原子力発電所の安全対策には手を抜き、「原子力発電は安全である」などの宣伝に金を掛け続けてきました。3月11日の東日本大震災の津波による電源喪失などから福島第一原子力発電所第1号炉から4号炉までの炉心及や使用済み核燃料棒を冷却できず、水素爆発によって建屋が破壊され、放射能が大気中に放出されました。半径20km圏内では居住できず、この避難区域はさらに拡大されています。
アメリカ、イギリス両政府と東京電力はともに「大量破壊兵器がある」、「原発は安全である」などの偽情報を発表流布することに長けています。米英のイラク攻撃はイラク国民と両国の兵士の人命を軽視し、「国益」や軍需産業の利益を重んじた帰結です。福島原発事故は東京電力の事故の可能性を否定し、原発の安全対策を怠り、原発を稼動させることによって得られる原発産業らの利益を最重要としてきた結果です。この米英のイラク攻撃と福島原発事故の因果は、私には同じように見えます。
地震・津波による被害はまさに天災でしょう。しかし、福島第一原発の冷却装置の津波による破壊・復旧不能の事態の出来は、津波による複合事故の可能性が以前より指摘されていたことから、東京電力による社災・人災であることは今や明らかとなりました。
ブッシュ・ブレアによるイラク攻撃に対する、当時の小泉首相の支持表明によって、陸上自衛隊と航空自衛隊はイラクに派兵されることになりました。誤った政策決定によって自衛隊員は劣化ウランの舞う砂漠の国イラクに派兵され、その放射能被爆の影響はいずれの時にか隊員家族に現れることでしょう。空自隊員の主任務はアメリカ軍の武力行使と一体となった兵員の空輸であり、撃墜される可能性もあり、命の縮むこともあったでしょう。加えて、その任務自体がイラク特措法2条2項、同条3項違反とともに憲法9条1項違反と名古屋高裁に判決されました。
昨日(22日)、東京電力清水正孝社長が原発被災地福島の避難所を謝罪に訪れたニュースがありました。被災者から“大丈夫と言っていて、どこが大丈夫ですか”と追及され、“原発、東京に持って帰って”と訴えられ、佐藤雄平知事に“原発再稼動はあり得ない”と断言されていました。この声は福島県民を含む被災住民の思いの発露でしょう。
“大丈夫、大丈夫、大丈夫、安全、安全、原発は安全です”と宣伝してきた東京電力をはじめ他の原発を持つ電力会社とそれを推進してきた歴代の日本政府の責任は重大です。
原発事故への対応に自衛隊員が動員され、被爆を余儀なくされています。地震、津波の災害救助そして復旧・復興への活動なら自衛隊員も活動に邁進できるでしょう。しかし、電力会社の安全対策を怠った結果による原発事故への動員作業は別です。福島第一原発の水素爆発の事故を受け、自衛隊員や東京消防庁の隊員のそれこそ放射線被爆の中での必死の放水作業が行なわれ、ヘリコプターからの散水作業をテレビが映し出していました。これらの活動は秒単位で被爆線量が増え、人体への影響は大きくなります。
朝日新聞22日夕刊コラム「東日本大震災の衝撃」専門家に聞く、で立命館大学の大島堅一教授が「公表資料で把握できる・・・私の試算では、1970年から2007年度に日本での1kw時あたりの単価は原子力10.68円、火力9.90円、水力7.26円。事故が起きれば補償費用も膨らむ。『原発は安価』との主張は誤りだ。・・・」といっています。
100万kwの原発では、熱エネルギーの3分の1しか発電に使えず、あとの3分の2は冷却用の海水・毎秒70tを7℃上昇させ海に放流しています。原発は海水温水機であり、実は温暖化の原因の一つです。
原発、とりわけ事故を起こした原発内外での対応作業は致命的な被爆を伴うこともあり、福島原発での労働者は連日、命を削っているようです。
誰のための原子力発電でしょうか。
イラク派兵も事故を起こした原発への放水作業も誤った政策の果てに、自衛隊員に課せられてしまった任務です。
誤った政府方針、人命を危機に陥れる政府の決定が再び繰り返されることがないためにも、福島原発事故を新たな契機として、小牧基地の隊員の皆さんはイラク派兵の検証をしてください。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局
社民党愛知県連合 平山良平
西尾市高畠町4-75-3。
政府は原発から半径20km圏外で年間累積放射線量が20㍉シーベルトを超えそうな福島県の5市町村を「計画的雛区域」に指定し5月末までに住民を避難させるという
原発を攻撃されたら、福島原発の6号機を含む54機の日本の原発がミサイル攻撃を受け、建屋や冷却装置のポンプ、配管、電源が破壊されたら、どうなるのでしょうか。もう日本は戦争できません。原発を攻撃されたら、アウトでしょう。