2010年12月25日

 

        申し入れ書

12月20日、韓国の射撃訓練に、共和国は「対応に値せず」と“大人の対応で”、戦火を回避しました。自衛隊が隣国の砲火に巻き込まれることのないよう、憲法第9条1項違反となる海外派兵されることのないよう空自小牧基地の皆さんはイラクでの空輸活動を検証してください。

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

朝日新聞は21日朝刊1面で、韓国の大延坪島周辺海域での射撃訓練に対して、朝鮮民主主義人民共和国の「軍事的挑発にいちいち対応する一顧の価値も感じなかった」との報道文を載せるとともに、訪朝中のリチャードソン米ニューメキシコ州知事に共和国政府が寧辺の核関連施設への国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れることなどを同意したと報じています。
共和国の主張する境界線以北・韓国の主張する北方限界線(NLL)以南の「いざこざ」が続いてきた海域での韓国軍による砲撃訓練に対して今回、共和国は自重して発砲せず、訪朝中のリチャードソン米ニューメキシコ州知事に「朝鮮半島の非核化」への意思を示すことで朝鮮半島の緊張緩和を世界にアピールしました。
金大中政権、盧武鉉政権の10年間は朝鮮半島での緊張緩和が進みましたが、李明博政権は先の二政権とは異なった政策をとってきました。この政策の結果が先月の韓国軍の大延坪島沖の砲撃訓練とこれに対する共和国軍の大延坪島とその海域への海岸砲による砲撃で、民間人と兵士の4人が死亡しました。
南北の砲火が拡大し朝鮮戦争の再来となったならば、同じ民族同士の殺し合い、戦禍と悲しみは朝鮮半島全体を覆いつくし、ほくそ笑むは軍需産業で利益を貪るの者だけでしょう。
毎日新聞は21日の紙面で「『対話と交流』を優先した金大中、盧武鉉両政権を支持した進歩勢力は、訓練中止を強く要求。最大野党の民主党は、南北対話に消極的な李明博政権が砲撃事件を招いたと批判している」と韓国内の動きを紹介しています。
同じ民族間の「いざこざ」について双方に対話することを求めず、「挑発したのは○○だ、悪いのは○○だ」とばかりに軍事的対応を是とするような日本の報道の中にあって、この毎日新聞の、韓国内に訓練中止を求める勢力が厳然として存在することを知らせる数行の記事に光明を見る思いがします。国内に訓練中止を求める政治勢力があれば朝鮮戦争の再現はないでしょう。
先月の申し入れで私は、「日朝の外交ルートがほとんど存在しないことが日本政府の弱点です」と書きましたが、アメリカには複数の外交ルートが存在します。新聞報道によればリチャードソン州知事は金桂冠外務次官の招請を受ける形で16日から私的な立場で訪朝したという。朝鮮半島で砲火を交えたこのときに、一州知事が外交を担い共和国の非核化の意思を内外に公表し、緊張緩和のキーパーソンとなりました。ここにアメリカの懐の深さと健在さを見ることができます。
日本にも朝鮮半島の緊張緩和をもたらす外交ルートと政治家が必要です。
民主党政権の下、日本の武器輸出3原則の見直しが行われようとしています。日本の軍需産業が「武器輸出解禁」によって武器生産を拡大し、軍需産業全体の生き残りと規模の拡大を求めています。アメリカはベトナム戦争以後、それこそ10年に一度大きな戦争を起こし、絶えずどこかで軍事行動を起こしてきました。2003年3月20日のイラク攻撃も「イラクには大量破壊兵器がある」「フセイン大統領とアルカイダは関係がある」という根拠のない情報をもとにした一方的な攻撃でした。ジョエル・アンドレアス著の漫画『戦争中毒』日本語版の通り、軍需産業のために絶えず戦争を作り出している国がアメリカでもあります。その戦争のために、アメリカの若者が戦場に駆り出され、他国民を傷つけ、そして自らも傷つき帰還しています。
日本の“武器輸出をしない3原則”はそういうアメリカにならないための歯止めです。“武器輸出しない3原則”が崩されれば、ゆくゆくは自衛隊員がアメリカの兵士のように使い捨てられることになるでしょう。
戦争への途に再び日本を歩ませない決意、自衛隊員を含む日本国民全体の決意が不断に必要です。
昨日、24日の朝日新聞に「米ロ核軍縮条約発効へ(1面)」とともに、「イラク戦争検証 日本は(3頁)」の記事があります。

空自小牧基地の皆さんは他国の戦争に再び巻き込まれないよう、当事者としてイラクでの活動を検証してください。

 

             <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
               社民党愛知県連合 平山良平
               西尾市高畠町4-75-3