2010年10月23日

「領土問題」は外交交渉で解決を、自衛隊の出番とならないよう、自衛隊によるイラク派兵の検証を

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

ある時点での出来事を根拠に「尖閣諸島は日本固有の領土である」と言うことはできます。
江戸時代に薩摩藩の琉球王国への侵略と明治政府による琉球処分によって琉球王国は沖縄県にされて130年余、今後、沖縄の人々が尖閣諸島は「琉球固有の領土」と主張し、海底資源や沖縄の地理的位置の重要性、将来性からも琉球独立をめざすとしたら日本政府はどう対応するのでしょうか。
 自国に都合のよい主張をする各国政府、そのために自国軍隊の駐留配備を推し進め、その結果の武力衝突、さらに戦争という事態に発展したらどうなるのか。今度は領土問題を理由に、21世紀に日中戦争をまたするつもりなのか。

 「イラクには大量破壊兵器がある」、「フセイン大統領とアルカイダとは関係がある」ということを理由にイラク攻撃をした国がアメリカでありイギリスで、それを真っ先に支持した国が日本でした。最も被害を受けたのがイラクの人々であり、直接の加害兵士であるアメリカ兵もイラクの人々の抵抗と反撃で死傷しています。そして最も利益を得ているのはアメリカの軍需産業で、兵器の在庫一掃と新規の需要で不況知らずでは。国際的に容認されている自衛のための戦争ではなく、アメリカとイギリス政府がやったのは軍需産業、復興事業関係や石油産業などのビジネスのための戦争です。
 10月15日付毎日新聞「きょうから新聞週間」で、「米帰還兵の外傷性脳損傷」についての記事があります。2007年9月から毎日新聞がイラク戦争を検証する取材を始めた中で、イラクからの帰還兵のなかに外傷性脳損傷(TBI)が増えていることが明らかになりました。TBIとは、外力が加わることにより生じる脳組織の損傷で、06年当時は戦場における爆発の衝撃がTBIを引き起こす可能性は周知されていなかったという。多数の帰還兵がTBIを発症しており、頭痛や不眠に悩まされ、数分前の記憶すらはっきりしないことがあることなどから軍も調査に乗り出したことから、アメリカの一部のメディアがこれらTBIに悩む帰還兵へのインタビューを始めた。それらの報道は、兵士を「犠牲者」として描くことに終始しがちで、TBIを生み出す対テロ戦争の現状や歴史的背景を掘り下げることはあまりなかったとある。
 10月20日のNHKテレビニュースで「イラク帰還難民60%が後悔」と国連難民高等弁務官事務所が調査結果を明らかにしました。おととしまでの2年間にイラクの首都・バクダッドに帰国した2353人の難民を対象にしたアンケート調査によると、全体の61%が「帰国したことを後悔している」と回答し、その理由として、大半の人たちが治安情勢が改善せずテロなどに巻き込まれることへの不安をあげ、全体の34%が、今後もイラクで生活を続けていくかどうか定かでないと回答しているという。国連では、すでに帰国した難民に加えて周辺国に今も数多く残る難民への支援を国際社会に今後も要請していく方針という。
 この最近の報道、ニュースによってもアメリカ・イギリスによるイラク攻撃の影響が今なお続いていることがわかります。
 イギリス政府はイラク戦争の検証を続けていますが、イラク攻撃の主導国であり、大部分の責任を負うべきアメリカ政府はイラク攻撃についての検証もイラクへの戦争賠償もしていません。民主党政権となった日本政府もイラク攻撃を支持し、自衛隊をイラクに派兵したことについての反省も検証もしていません。
 反省も、そのための検証もしないということは、同様な事態に対して、再び自衛隊を派兵するということです。
 航空自衛隊小牧基地の隊員が生命の危険にさらされ、他国の武力行使と一体化した任務をし、これをイラク特措法違反、憲法9条1項違反と断じられたにが自衛隊のイラク派兵です。このようなことをしないために、航空自衛隊小牧基地によるイラク派兵の検証をしてください。

 

              <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
               社民党愛知県連合 平山良平
               西尾市高畠町4-75-3