2010年8月28日
空自小牧基地発C130輸送機の二つの「海外派遣」
航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様
8月20日の新聞報道によれば、イラク駐留アメリカ軍の最後の戦闘部隊4000人が現地時間19日未明、イラク国境を超え、クウェートに入った。これで2003年3月に始めたイラク攻撃から7年5ヶ月、今後、残る5万人余のアメリカ軍の主任務はイラク治安部隊の訓練となるという。イラクでのアメリカ軍の戦死者は4419人、イラクの民間人の死者はおよそ10万人という。
朝日新聞は8月23日の社説で、「この戦争は何だったのか。開戦した米国も、戦争を支持した日本も、深く自問自答すべきときだ。・・・・・
日本はイラク戦争を支持し、イラクの「非戦闘地域」に自衛隊を派遣した。同盟国・米国に寄り添う動きだった。不確かな情報に基づく戦争を支持したことをどう総括するのか。・・・・・菅直人首相は、民主党代表として、大半が戦闘地域のイラクへの自衛隊派遣は違憲状態だと指摘していた。民主党政権はこの歴史から何を学びとるのか、今こそ明確に示す必要がある。戦争に関する国家の意思、判断は、厳しい検証を受けなければならない。さもなくば、今後の国家運営、とりわけ外交と安全保障政策に何の教訓も残さないことになる。参議院の調査会で集中的に審議するなど、国会でイラク戦争をめぐる意思決定の検証作業をすべきである。」という。
今なおアメリカ軍がイラクに5万人余駐留しているが、戦闘部隊が撤退したことを機に社説は、日本政府に自衛隊イラク派兵に関する検証を求めています。
毎日新聞の8月20日の社説も表題を『米戦闘部隊撤退』としつつ、最後に「だが、イラク戦争開始以来民間人の死者は9万~10万人、米兵の死者は4400人以上とされることを考えれば、この戦争の動機や背景はなお厳しく検証されるべきだ。戦争をいち早く支持した日本も徹底的な検証をすべきである。」と主張しています。
毎日新聞8月23日に『洪水のパキスタン 救援へ輸送機出発 空自小牧基地』との見出しで、「洪水被害が深刻なパキスタンへ救援ヘリコプターを空輸するため、航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)からC130輸送機2機が22日に出発した。国際緊急援助活動の一環。熊本空港で陸自の多用途ヘリ1機と整備機材を積み、23日にパキスタンに向かう。小牧基地によると、23日、24日もC130各2機を派遣。ヘリ計3機と資材を空輸する。現地では陸自の部隊が、別便で送られる大型輸送ヘリ3機と合わせた計6機で、医薬品や食料など救援物資や被災者を輸送する。また、地震被害からの復興を急ぐハイチで国連平和維持活動(PKO)を展開する陸自支援のため、小牧基地所属の空中給油・輸送機「KC767」1機が22日、支援物資を積み同基地から出発した。」との記事があります。
自衛隊イラク派兵のC130H輸送機3機の活動と全く性質の異なる海外派遣の記事が新聞に掲載されています。
現地の政府と被災した人々から歓迎を受ける海外派遣や国内での救援活動を多く経験すると、感覚的にも、法的にも、先のイラク派兵のような任務なら、それを拒否する隊員が出てくるのではないかと期待をもっています。
イラク派兵の期間中、空自操縦士の希望退職者が増えたという新聞記事がありました。これはイラクの人々と自らのいのちを大切にした空自隊員決意の表れであると思っています。
だんだん見えてきました。自衛隊員の職務は人権といのちを守ることであるということが。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局
社民党愛知県連合 平山良平
西尾市高畠町4-75-3