2010年6月26日

イギリスは“アメリカのプードル”から脱するために検証しました
空自小牧基地もイラクでの空輸活動の検証をしてください

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

6月23日、「沖縄慰霊の日」に名古屋のアメリカ領事館にバラク・フセイン・オバマ・ジュニア、アメリカ合衆国第44代大統領宛の「申し入れ書」を渡してきました。
1945年3月末から日本の敗戦までのアイスバーグ作戦(Operation Iceberg)でのアメリカ軍の死者は1万2千名余、この沖縄戦の日本軍民の死者は18万人余といわれています。
アイスバーグ作戦でアメリカ軍は“鉄の暴風”と沖縄の人に例えられた艦砲射撃を沖縄の地形が変わるほど浴びせました。上陸直後の4月、アメリカ軍は占領地に「布告第1号」を発して、生き残った沖縄の住民を収容所に送り込む一方、次々と銃剣とブルドーザーでアメリカ軍が必要と思うところに基地・飛行場を造成していきました。これが現在も続く“基地の島沖縄”の由来です。1972年の「沖縄返還」、施政権の日本政府への返還はあったものの、現在なお大部分の基地は沖縄の人々に返還されておりません。
鳩山首相は選挙公約であったアメリカ海兵隊普天間基地について、「国外へ、最低でも沖縄県外」を実現せずに辞任しました。沖縄のアメリカ軍(海兵隊)を最後には「抑止力として」その存在を評価しました。
沖縄の人々はなぜ沖縄のアメリカ軍について「抑止力」として高く評価しないのか。徳之島の人々はなぜアメリカ海兵隊基地移に大きな拒否反応を示したのか。アメリカ軍海兵隊が「抑止力」ではなく、アメリカ大統領命令によって(真っ先に)ベトナムに、イラクにアフガニスタンに送り込まれていること、かつ沖縄も奄美諸島の人々も占領下でのアメリカ軍を肌で感じて知っているからでしょう。
抑止力は戦争を抑止する力という意味ですが、アメリカ軍・アメリカ海兵隊は抑止力ではなく、攻撃力として日本から遠く離れた戦場に送り込まれています。2003年3月20日に開始されたアメリカ軍・イギリス軍による一方的なイラク攻撃はこの典型です。当時のブッシュ大統領は「イラクには大量破壊兵器がある」、「フセイン大統領とアルカイダとは関係がある」との理由でこの攻撃を開始しましたが、その開戦理由は根拠のないものでした。開戦理由を作り上げてでも「戦争を作る国アメリカ」を世界中に知らしめました。
このイラク攻撃に支持を表明した当時の小泉首相、その後、麻生首相に至るまで自衛隊をイラク特措法を根拠に派兵しました。派遣命令に従って空自は小牧基地からC-130H輸送機を3機派遣し、4年余にわたって空自隊員を派兵しました。この輸送任務のうちクウェートからバクダッドへの多国籍軍の武装兵員の空輸について、「イラク特措法2条2項、同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。」と2008年4月17日、名古屋高裁は判決しました。
空自隊員は抑止力ではなく攻撃力としての多国籍軍(多くはアメリカ軍兵士)を空輸していたのです。
普天間基地の移設先を沖縄県内の名護市辺野古とし、新基地建設をする案が自民党、マスコミ、アメリカ政府関係者によって強烈に押し進められ、岡田外務大臣、北澤防衛大臣、平野官房長官もそれに組みしました。“普天間基地の撤去”という沖縄県民の民意と「国外、最低でも沖縄県外」という公約を大切にし、鳩山首相はオバマ大統領とひざ詰め談判で交渉し、実現すべきでしたが、そうはせず、かえって「沖縄のアメリカ軍(海兵隊)は抑止力」という言葉を自ら口にすることによって公約を放棄し、ついには辞任してしまいました。しかし、このことで、沖縄県民が普天間基地の撤去を諦めたわけでは決してありません。
「沖縄のアメリカ軍(海兵隊)は抑止力」という中身を検証すれば、決して抑止力ではあり得ないにもかかわらず、検証しなかったがゆえに、鳩山首相は辞任することになりました。
イラクへの自衛隊の派兵、航空自衛隊のイラクでの活動をきちんと検証しなかったならば、また同じことが繰り返されることになります。この間、イラクでの空輸活動にあたる空自パイロットの退職者が増加しました。少なくとも直接の国土防衛の任務ならば命を賭してでも彼らは遂行したことでしょう。検証とは、あるべき姿にすることです。
私は、オバマ大統領への「申し入れ書」の最後にこう書きました。「民主主義を標榜するアメリカ合衆国、その大統領であればこそ、沖縄県民の民意を的確に受け止めて、第1番目の施策として普天間市街地の真ん中を占め、世界で最も危険な海兵隊普天間基地を撤去しアメリカ国内へ移設するよう決断を求めます。」と。
民主主義の要は「自分たちのことは自分たちで決める」ということです。沖縄のことは沖縄の人々が、日本のことは日本の人々が決めるのです。決してアメリカ政府ではありません。かの国の大統領も言いました。“government of the people, by the people, for the people”と。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
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