2010年1月23日


空輸任務の“事業仕分け”と検証をしてください

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

21日朝日新聞夕刊に「自衛隊の空輸隊 小牧基地を出発」との見出しで、「ハイチ大地震で医療活動をする自衛隊員の輸送にあたる国際緊急援助空輸隊が21日、航空自衛隊小牧基地から米国フロリダ州に向けて出発した。第1輸送航空隊の隊員を中心に24人で編成、C130輸送機1機で午前9時ごろ出発した。陸上自衛隊の国際緊急医療援助隊の人員と物資を、フロリダ州の基地からハイチのポルトー国際空港に運ぶ任務を担う。」などの内容で、離陸する輸送機に向って隊員の「帽振れ」の写真が載っていました。
小牧の航空自衛隊の任務が、この「国際緊急援助輸送」の任務のように現地の人々に感謝されるものと、一昨年末まで行なわれていたイラクでの武装した兵員の空輸任務のように到底イラクの人々から感謝されることもなく、しかも国内の高等裁判所から「イラク特措法にも、憲法9条1項にも違反することが認められる」と判断されるようなものまであるようです。日本政府が憲法9条を遵守して行政にあたれば、自衛隊の海外任務は今回のような国際緊急援助関連のものとなり、その任務は先方から歓迎され、任務完了の折には心からの感謝もって見送られることでしょう。
沖縄のアメリカ軍基地と海兵隊の存在を「抑止力」として評価する向きもありますが、沖縄の海兵隊はアフガニスタンやイラクへの一方的な「攻撃力」であり、基地周辺及び沖縄の人々にとっては歓迎される存在でないことが昨年8月の衆院選でより一層鮮明になりました。
ベトナム戦争でアメリカ軍は勝てず、ベトナムから追い出されました。2003年3月からのイラクへの一方的な攻撃とそれに続く占領でもアメリカ軍に勝利感はありません。イラク都市部からの撤退の次は、完全撤退しか道はありません。2001年10月以降の一方的なアフガニスタン攻撃で、なおオバマ大統領が3万人増派を打ち出しても、将来的にはやはりアフガニスタンからの撤退しか道はありません。「彼らには時計があるが、我々には時間がある」とアフガニスタンで言われているそうです。
日本国民そして自衛隊員に国土や人々の生活を守る気持ちと行動がありますが、他国の軍隊によって蹂躙されたベトナムの人々や、イラクの国民、そしてアフガニスタンの民にはそれ以上のものがあるに違いありません。
朝日新聞は1月12日付紙面で、「イラク戦争『国際法違反』オランダ政府の独立調査委員会は「米、英の主導で03年3月に始まったイラク戦争が、国際法違反だったとする報告書を公表した。米英が攻撃の根拠とした国連決議について『さらなる決議なしに、個別の国々のイラクへの侵攻を認めるものではなかった』とし、攻撃を支持したオランダ政府も決議の解釈を誤っていたとしている。」と報じました。
赤旗は21日付紙面で「英国のイラク戦争を検証する独立調査委員会の公聴会で、ブレア前首相の首席補佐官を2001年から07年まで務めたジョナサン・パウエル氏が18日に『イラクは大量破壊兵器を持っていなかった。我々は間違っていた。』と述べた。」、また、翌19日の同公聴会で、「当時のフーン国防相が、英国は外交努力によってフセイン政権の“大量破壊兵器”問題の解決を望んでいたとし、イラクへの侵攻は不可避ではなかったと強調しました」と報じています。
政権交替後の民主党政府は、空自のイラクでの「週間空輸実績」の情報を公開しました。1月15日を期限に海上自衛隊給油艦・護衛艦はインド洋・アラビア海での任務を終了しました。今後、民主党政府は、03年のアメリカ・イギリス軍のイラク攻撃とその直後の小泉首相(当時)による支持、そしてイラク特措法による自衛隊のイラク派兵についての一連の検証作業を始めるでしょう。もしオランダ、イギリスのように政府として検証をしないならば、今後も自衛隊の海外派兵が行なわれ、自衛隊員があのような任務を強いられることになるかもしれません。
航空自衛隊小牧基地・隊員はイラク派兵の当事者として、憲法9条1項違反と認定された空輸活動をしてきました。再びそのような任務で、自衛隊員が極度の緊張を強いられることのないよう防衛大臣に具申するとともに、任務が日本国民に承認され、外国の人々に歓迎されるものであるよう自らも“事業仕分け”と検証作業をしてください。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
             住所 西尾市高畠町4-75-3                        

 

 

 

自民党とマスコミが「日米両政府の約束どおり、アメリカ海兵隊普天間基地の代替は辺野古の新基地で」と口をそろえて言っていますが、民主党政府がそれに縛られるいわれはなく、政権交替は政策の変更を伴うものです。2006年のアメリカ軍の再編計画に沿って普天間基地のアメリカ(グアム)に移設すればよいことで、日本政府が移設費をだしたり、過剰な「思いやり予算」を提供する必要はありません。
普天間基地の代替として、辺野古に軍港付き新基地建設という決定を日本政府がしたならば、日米の軍事同盟化が更に進み、自衛隊がアメリカ軍と一体となって軍事作戦をする可能性が更に高まります。
自衛隊、自衛隊員にとっても、この軍事同盟化は好ましいものではなく、当のアメリカの貧困政策から兵隊となってしまった若者にとっても、世界の人々の平和にとっても良いものではありません。
攻め込まれたらという恐怖感を強力な軍事力でバランスをとろうとする考え方を超えなければ平穏な暮らしはありません。拳銃所持で身を守るというアメリカ式の生活を日本もする必要は全くありません。
ハイチでの緊急援助空輸隊を遂行して帰途に着くときの充実感、国内のさまざまな救援活動を成し遂げたときに自衛隊員が受けた感謝は何ものにも代えがたいものでしょう。本物の人道復興支援をしてきてください。
国際緊急援助隊、国内緊急援助隊、人道復興支援こそが任務である自衛隊になるための、現在は過渡期です。
 軍事力と戦争は軍需産業を防衛しても、平和作りの力にはならない

 

 
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
              住所 西尾市高畠町4-75-3