2009年9月26日


政権が変わりました、改めてイラクでの空自活動の検証を

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

8月末、谷井基地指令がブルーインパルス展示飛行を断念するとの意思を、春日井、小牧両市長と豊山町長に伝えたとの新聞報道がありました。中止ではなく、飛行する前の決定ですから「断念する」という新聞が適切です。先月の申入書には「中止を」と記載しましたが、「ブルーインパルスの展示飛行計画を断念してください」と記述すべきでした。「来年こそは」ともはやお考えではないと思いますが、春日井、小牧、豊山、そして名古屋の市民が「展示飛行」という名の曲芸飛行の恐怖を強いられずにすむことは喜ばしいことです。
8月30日の衆議院選挙結果も大いに、谷井指令の断念に影響したことと思われます。インド洋の海上自衛隊のアメリカ軍等への給油活動を推進してきた自民・公明党政権から、その給油活動に待ったをかける民主党中心の連合政権に変わったこともあり、今までのようには自衛隊の海外派兵はないかもしれません。自衛隊員にとっても喜ばしいことだと思います。
昨年4月、武装した多国籍軍の兵員を戦闘地域でもあるバクダッド空港に空輸することは、武力行使を禁じたイラク特措法2条2項、活動区域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ憲法9条1項に違反すると判断した名古屋高裁判決がありました。今年の5月13日付中日新聞は「主要空自基地では唯一ブルーインパルスを飛ばしておらず、イラク復興支援をトラブル無く完了したとの自負もあり、精強な空自の象徴を見てほしい」との谷井基地指令の意向を伝えていました。
空自のイラク復興支援とは何をやったのか明らかにされておりません。谷井基地指令はこの名古屋高裁判決時に空幕主席法務官であり、この名古屋高裁判決に対して、イラクへの空自の拠点でもあった小牧基地指令として、もう二度と空自隊員を法律にも憲法にも違反する活動をさせないためにも空自のイラクでの活動について審らかに検証し、その結果とともに法的見解を添えて公表してください。
操縦士がここ数年、それ以前に比べ多く退職しています。その要因については、空自のイラクでの空輸活動であると思っています。退職しなければ任務を拒否できないならば、退職という選択は賢明なことであると思われます。
アメリカ人にとって「冬の兵士」とは、独立戦争当時、戦局の危機にあっても逃げずに闘った兵士のことで、本当の愛国者のことをさします。現代の「冬の兵士」、それはアフガニスタンやイラクに派兵され、その体験から、この二つの戦争は大義のない戦争・侵略戦争に過ぎないと自覚し、アフガニスタン、イラクからのアメリカ軍の撤退と両国への補償を求める帰還兵たちのことです。証言によれば、アメリカ海兵隊員たちは交戦規定を無視し、銃を乱射し、無差別にイラクの人々を殺しているという。侵略戦争であるが故の兵士の宿命です。イラクでのアメリカ軍の戦死者は4000人を越えました。しかし、これを上回る6000人の兵士・元兵士が自殺しています。兵士としての行為が心的外傷後ストレス障害をもたらし、遂には自らの命を絶つという。ベトナム戦争では戦死者5万8000人、その後の20年で元兵士の自殺者は10万人を越えたという。いかに侵略軍兵士が任務として非人間的な行為をしたかがわかる資料です。イラク戦争・占領が終っていない現在時点ですでに戦死者よりも自殺者の人数が多い。
イラク戦争で、かように戦死者及び自殺者を出し、それに数倍する負傷者を出しているアメリカ、そのアメリカとイギリス軍によって一方的に攻撃を加えられ、何十万人という多くの死傷者を出したイラクの現状があり、現在なおアメリカ軍が占領を続けており、イラク全体の復興は全く手付かずの状態を知ってか知らずか、谷井小牧基地指令は「イラク復興支援をトラブルなく完了した」などと言われる。教えてください。武装した多国籍軍兵士の空輸の他に、イラクの復興支援に航空自衛隊は何をしたのですか。
小泉首相のアメリカのイラク攻撃支持から6年、自衛隊派兵によって日本のイラクと中東での評判は落ちました。今後、民主党連合政権は本当のイラク復興のために、自衛隊を参加させない方法で尽力するでしょうし、日本の名誉回復のためにそれをしなければなりません。
9月24日、「核不拡散と核軍縮」をテーマにした国連安保理の首脳会合(15カ国)で、核兵器のない世界を目指す内容の決議が全会一致で採択されました。また一歩軍縮の世界へと進みました。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
              住所 西尾市高畠町4-75-3