2009年4月25日
ソマリア沖海賊を理由に派兵されることのないように
航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様
政府は海上自衛隊P3C対潜哨戒機のソマリア沖への派遣準備命令をだしました。ソマリア沖の海賊対策という。ソマリアの隣国ジブチにその対潜哨戒機の飛行場(基地)を借り受け、それを陸上自衛隊員に護衛させる。そのための人員物資を航空自衛隊に輸送させる計画と聴いている。
海上自衛隊護衛艦「さざなみ」、「さみだれ」はアデン湾航行の日本船籍等の護衛を自衛隊法の「海上警備行動」で行なっているという。昨年は2000隻余の輸送船がアデン湾を航行したという。今その2隻の護衛艦が5隻の輸送船団の前後を護送するというが、日本の半分がすっぽり入るアデン湾を15ノットで航行すとジプチからオマーン沖まで(900km)32時間かかることになる。折り返しオマーン沖からジプチまで5隻の輸送船を護送するとし、計10隻の輸送船 の護送に64時間かかる。1年フルに護送し ても1368隻しか護送できない。2000 隻の輸送船は到底護送できない。世界の海を 航行している日本関係の船のシーレーン防衛 などは軍事力では到底不可能なことです。海 賊のいない社会や国の存在が大切で、海賊対 策を護衛艦の護衛で行なうというのは軍隊を もてあそぶ者の発想です。ソマリアの内政支 援が大切なことです。ソマリアの海賊といわ れる人々は元は漁師や沿岸警備隊の船員であるという。国家が崩壊し、沿岸警備隊がなく なった後、先進国の大型漁船が乱獲するなどした結果、ソマリアの漁師は漁で生活できなくなり海賊になったという。ソマリアの領海の治安警備こそ必要です。日本の海上保安庁の出番です。マラッカ海峡の海賊対策に貢献した日本の海上保安庁の指導力と日本政府の海上警備艇建造そしてソマリアへの供与こそ、本物の海賊対策です。
『新社会』09年4月28日号より
4月10日にフランス軍は人質救出で海賊を射殺し、12日にはアメリカ軍が海賊を射殺したという。それに対して海賊側は報復を宣言したという。ソマリア沖の危険性がより高まる結果となりました。海賊はいわば海の強盗でこれに対処するのは、海の警察官であり、日本で言えば海上保安庁の仕事です。
自衛隊を海外に派兵することを念願している者たちはことあるごとに自衛隊を持ち出します。湾岸戦争終了後のペルシャ湾への海上自衛隊掃海部隊の派兵(91年)、カンボジアへの陸上自衛隊施設大隊の派兵、ゴラン高原兵力分離のための陸自隊員の派兵(96年)、アメリカの対テロ戦争の支援の一環としてインド洋アラビア海への海上自衛隊護衛艦・給油艦の派遣(01年)、アメリカ軍のイラク攻撃・占領下のイラクへの航空自衛隊C130輸送機と空自隊員の派兵とサマーワへの陸上自衛隊の派兵でした。この12月末、C130輸送機3機と隊員がイラク・クウェートから帰還すると今度は、待ってましたと、ソマリア沖の海賊対策です。
海上保安庁の保有船舶ではソマリア沖の海賊に対応できないから、海上自衛隊をとりあえず海上警備行動で対処させ、本格的には、海賊対処法案を成立させ、恒久的に自衛隊を海外展開させる目論見です。この法案では「海賊」に対して武器使用・殺害を容認しています。
政府首脳と防衛庁幹部の国益で自衛隊員が派兵されています。その任務を自衛隊員は粛々と遂行しているようです。
若きアメリカ軍兵士たちもブッシュやチェイニーの国策・対テロ戦争によってアフガニスタンやイラクに派兵され、粛々と軍務に服してきました。殺し殺される戦闘で傷つき仆れました。最近では路肩爆弾での脳障害が新聞紙上で明らかにされました。アメリカ・ブッシュ大統領の対テロ戦争とイラク攻撃によってアフガニスタンもイラクも破壊が拡大しただけで、決して、平和は訪れておりません。しかし、この8年、アメリカの兵器産業界だけは確実に利益を上げてきました。
このまま自衛隊の海外派兵が拡大していけば、自衛隊員がアメリカ軍兵士のようになることでしょう。今まで、そして今、日本政府首脳たちは誰をどこを向いて千切れるほど尻尾を振っているのでしょうか。
55年前、自衛隊が発足するにあたって参議院が全会一致で決議をしました。「自衛隊の海外出動をなさざることに関する決議」です。
その昔、「満蒙は日本の生命線だ」といって戦争に突入していきました。「シーレーン確保は死活問題、生命線」と言った国会議員が今いるという。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局
社民党愛知県連合副代表 平山良平
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