2009年3月28日


空中給油輸送機KC767の飛行についての申入書

航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

3月27日の毎日新聞夕刊は、『北朝鮮ミサイル 破壊措置命令を発令』との大見出しで、政府が安全保障会議で長距離弾道ミサイルへの対処方針を決定したことを報じた。麻生首相はその安保会議で「どのような形であれ、国民に被害が起きるような現象は断固阻止しないといけない。万全を期して対応するように」と関係閣僚に指示し、浜田靖一防衛相はミサイルが日本の領土、領海に落下する場合に備え、自衛隊法82条2の3項に基づく「破壊措置命令」を発令したという。
 海上自衛隊はイージス艦「こんごう」と「ちょうかい」を日本海に展開させ海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で、航空自衛隊は浜松基地配備の地上型迎撃ミサイル(PAC3)を秋田県・新屋演習場などに移動させ破壊措置命令に従い迎撃に備えるという。
今回の破壊措置命令は実戦配備同様で、イージス艦のミサイル探知能力や各迎撃ミサイル性能を知る絶好の機会ともなるでしょう。
麻生首相の「どのような形であれ、国民に被害が起きるような現象は断固阻止しないといけない。」との決意を是とするとき、日本国民の上に降り注いでいる様々な生活苦への日本政府の対応との違いに驚きを隠せません。
救急医療を必要とする患者がたらいまわしになる現実、派遣社員が解雇され、職と住まいを同時に奪われている現実、少ない年金で生活せざるを得ない高齢者、介護する者も受ける者もゆとりの無い介護実態、毎年3万人の人々が自殺している現実など、新聞を開けば珍しくもなく目にします。
救急患者がたらいまわしにされることのないよう政府は対応していますか。派遣社員が解雇されたとき、政府は解雇を阻止するためにどんな対応をしていますか。何年も前から少ない年金生活をせざるを得ない退職者の生活についてどのように対応してきましたか。「老老介護」はもう珍しい現象ではないですが、これに政府はどう対処してきたのでしょうか。
日本国民にまだ一人の被害が出ていない北のミサイル発射にはこれほどに対処するのに、国民の様々な被害実態に対処してこなかった日本政府のあまりの格差に怒りさえ覚えます。
北のミサイルが日本の領土、領海を通過するとき、「どのような形であれ、国民に被害が起きるような現象は断固阻止しないといけない。」と麻生首相は述べました。
航空自衛隊はイラクに派兵され、06年8月から武装したアメリカ兵をC130H輸送機で空輸してきました。イラクの領空を占領軍であるアメリカ軍の武装兵員を空輸している日本の自衛隊機を見たイラクの人びとはどう思ったのでしょうか。麻生首相と同じように思ったのではないでしょうか。
去る12月、空中給油輸送機KC767は日本海上空での給油訓練中に給油ブームが故障し格納できず、各務原基地での緊急着陸時には火災も発生しています。給油輸送機のセールスポイントである給油部分の欠陥があらわになったもので、自動車なら即返品でしょう。
給油輸送機の最大の導入理由は自他の飛行滞空時間を延ばすことで、胴体に燃料コンテナを離陸不能になるぎりぎりまで搭載するでしょう。離陸時がもっとも危険性が高くなる飛行機です。何年も飛行し離発着をしていれば、KC767もいつか事故を起こすことでしょう。過去に県営小牧空港では一度たりとも自衛隊機の事故は無かったのでしょうか。
麻生首相は述べました。「どのような形であれ、国民に被害が起きるような現象は断固阻止しないといけない。」この格差です。自衛隊が原因となるようなことには視線を向けない、二重基準です。
 空中給油輸送機KC767は安全ですか。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
              住所 西尾市高畠町4-75-3