2008年9月27日
航空自衛隊のイラクからの即時撤退を求める申入書
航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様
イラクからの空自撤退、正式発表、おめでとうございます。
熊本日日新聞が7月29日に「空自の年内イラク撤退」を報じ、それを正式発表したかのように、この9月11日に町村官房長官が「改善しているイラク国内の状況に鑑みて、イラク特措法の目的が達成されつつあるとの認識を強めている。年内をめどに航空自衛隊の任務を終了させる方向で検討に入った。」と述べ、林防衛相も「国連決議が年末に切れる中、イラク政府と調整し、活動を年末までに終了するという検討に入ることにした。」と語った。
福田首相は、小泉首相時代の官房長官であったときに自衛隊イラク派兵を決めており、任期中の9月11日に空自の撤退発表はその後始末でしょう。
「自衛隊の活動地域が非戦闘地域」と言ってのけた小泉首相。サマーワの陸自駐屯地に何度も迫撃砲弾やロケット弾が打ち込まれ、隊員に死傷者こそでなかったようですが、家族ともども肝をつぶす思いをされたことでしょう。今、風聞ではイラク帰還陸自隊員の新生児に放射線被害がでているという。イラクの新生児、子どもたちに小児がんが多発しており、1期3ヶ月のサマーワでの駐留期間とはいえ陸自隊員は、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾の放射線被爆を少なからず受けていたでしょう。空自の輸送活動、バクダッドでの離着陸では地対空ミサイルを回避するフレアが自動発射されており、戦闘地域での飛行輸送活動でしょう。
戦闘地域イラク・バクダッドでの空自の活動、武装した兵員を輸送していることによって「政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。」と名古屋高裁は4月17日に判決しました。
更に、重要な憲法判断を名古屋高裁は示しました。「例えば、憲法9条に違反する国の行為、すなわち戦争の遂行、武力の行使等や、戦争の準備行為等によって、個人の生命、自由が侵害され又は侵害の危機にさらされ、あるいは現実的な戦争等による被害や恐怖にさらされるような場合、また、憲法9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には、平和的生存権の主として自由権的な態様の表れとして、裁判所に対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請求等の方法により救済を求めることができる場合があると解することができ、その限りでは平和的生存権に具体的権利性がある。」と。
個人は、憲法9条に違反する国の戦争の遂行、武力の行使、戦争準備によって、生命や自由が侵害されるとか、恐怖にさらされる場合には、裁判所に救済を求めることができ、自衛隊員もまた、9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合は平和的生存権に基づいて裁判所に訴えることができ、しかも勝訴への法的根拠が示されたのです。
この4月17日の名古屋高裁の判決の背後には、アメリカのブッシュ大統領らによる虚偽の情報に基づいたアメリカ・イギリス軍によるイラクへの一方的な武力攻撃があり、この攻撃によって多くのイラク国民が死傷し、また反撃によるアメリカ軍兵士らの戦死傷者があり、このイラク攻撃と占領に加担させられた陸上自衛隊員及び航空自衛隊員がおり、自衛隊のイラク派兵を憲法違反として裁判所に訴えた何千という原告がおり、原告にならずとも自衛隊の海外派兵を憂えた多くのひとびとの声がありました。自衛隊のイラク派兵の差止違憲訴訟の最初の原告が、今は亡き自民党の元防衛政務次官であった箕輪登さんであったことが何よりも雄弁に物語っています。
日本国憲法が、それこそ日清戦争から太平洋戦争終結までの51年間の戦争の、内外の数千万人の犠牲によって生まれたように、この名古屋高裁の違憲判決と平和的生存権を具体的権利として認めた判断は、多くのイラクの人々と、アメリカ軍兵士を始めとする多国籍軍兵士の犠牲、及び、戦争を抑止し・平和を求める人々の願いと行動によって生まれたものです。
「町村官房長官が『改善しているイラク国内の状況に鑑みて、イラク特措法の目的が達成されつつあるとの認識を強めている。年内をめどに航空自衛隊の任務を終了させる方向で検討に入った。』と述べ、林防衛相も『国連決議が年末に切れる中、イラク政府と調整し、活動を年末までに終了するという検討に入ることにした。』と語った。」と新聞にあります。
潮時はきました。小牧基地司令、隊員、家族の皆様、年内といわず、今すぐに帰還させるよう新しい浜田靖一防衛大臣に求めてください。
私たちは10月1日に国会に行き、麻生総理大臣に航空自衛隊をイラク・クウェートから即時帰還させるよう求めてきます。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局
社民党愛知県連合副代表 平山良平
住所 西尾市高畠町4-75-3