2011年10月22日
        申 入 書

朝日新聞夕刊は10月5日、「航空自衛隊の空中給油機が共同訓練の際に米軍戦闘機に空中給油できる覚書を交わしていたことについてアメリカ国防総省の副報道官が事実関係を認めた」との報道をしました。空自のイラクでの活動の二の舞になります。小牧基地の皆さんはこの任務について検討してください。

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

新聞記事の文言に「米軍戦闘機に空中給油できる覚書」とありました。今までできなかったのは大型空中給油機を自衛隊が保有していなかったからで、小牧基地にKC767空中給油輸送機が4機配備され、訓練も行き届き、今後は自衛隊機以外にもアメリカ軍戦闘機にも給油できる体制が整ったようです。ことの中身は“アメリカ軍戦闘機の給油任務を担う”覚書であるということです。新聞記事としては、的確に「自衛隊機が米軍戦闘機に空中給油させられる覚書」として日本国民に周知し、警鐘を鳴らすべきです。共同訓練は“想定された場面”のために行なわれるもので、アメリカ軍戦闘機への給油の訓練は、自衛隊によるアメリカ軍の戦争への参戦表明です。記事ではこの決定が自衛隊なのか防衛省なのかも明らかではありませんが、自衛隊による覚書で済まされることではありません。内容も決定の仕方もシビリアンコントロールにおかれたものなのか、そして、そもそも憲法9条に違反しないかの視点が見当たりません。
アフガニスタン攻撃及びイラク攻撃に反省も検証もしないアメリカ政府、「イラクには大量破壊兵器がある」、「フセイン大統領とアルカイダとは関係がある」という理由でイラク攻撃しておいて、それが根拠もなく・つくられた情報であったことを当時のブッシュ大統領も認めていながら、当時もそしてオバマ政権になった今もなおアメリカ政府はイラクとイラク国民に謝罪も補償もしていません。そのアメリカ軍の戦闘機に空自隊員に空中給油をさせることになる覚書を結んだ者に対して抗議を表明します。
小牧基地には空中給油機能のついたC130輸送機と大型のKC767空中給油輸送機が4機配備されており、この覚書によって小牧の自衛隊機がイラクでのアメリカ軍の輸送任務に続いて、今度はアメリカ軍戦闘機へのKC767空中給油輸送機による空中給油任務に就かされることになります。
イラクにおける復興支援活動及び安全確保支援活動に関する特別措置法という武力行使を禁じた第2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した2条3項を持つ法の下で派遣(派兵)されたにもかかわらず、この法に違反し、武装兵員を輸送し、他国の武力行使と一体化し、自らも武力行使を行なったと評価を受けざるを得ない行動であることから憲法9条1項に違反した活動を、航空自衛隊員がさせられてしまいました。
このイラクでの空自の輸送活動の検証もないまま、また新たに、アメリカ軍戦闘機に共同訓練において空中給油活動を空自隊員に強いる局面が作られました。
アメリカ政府は日本に空中給油輸送機を買わせておいて、自衛隊と空自隊員に、アメリカ軍戦闘機に燃料を空中給油させる魂胆です。

朝日新聞9月15日夕刊と同新聞10月14日の『天声人語』で宮城の航空自衛隊松島基地で津波を浴びた戦闘機のことが報じられています。1機110億円のF 2戦闘機18機のうち12機について、修理は困難で処分、残りの6機は購入費よりも高い計約800億円をかけて修理して使うという。防衛省は第3次補正予算に機体の修理費に約800億円、エンジンの修理、整備機材の購入などで計約1090億円を要求したという。
愛知県西尾市にある一色漁港の漁師は津波警報が出た後、すべての漁船が漁港から出港したという。生計の核である漁船を津波から守るために、漁師はとるべき方策をとりました。

アメリカ政府も、日本政府もイラク戦争、自衛隊イラク派兵を検証していません。政府として検証をしない国同士の国防省と自衛隊が、今回、自衛隊機がアメリカ軍戦闘機に空中給油できるという覚書を交わしました。
自衛隊がイラクでの空輸活動を検証せず、自衛隊イラク派兵差止請求訴訟の名古屋高裁判決を尊重しないことによって、返って今回のような新たな任務と危機を作り出すことになりました。
自衛隊員を窮地に追い込まないためにも、イラクでの空輸活動を検証し、加えて、今回の給油任務については様々な観点からその是非を検討してください。

             <ノーモア南京>名古屋の会 事務局
               社民党愛知県連合 平山良平
               西尾市高畠町4-75-3