2009年8月22日


ブルーインパルス展示飛行の中止を改めて求めます
航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

今年の8月6日は広島の被爆から64年です。秋葉忠利広島市長は、オバマ大統領の核軍縮への行動を支持し、核廃絶に向けて広島の「平和宣言」を世界に発しました。
オバマ大統領は去る4月5日にプラハで「核兵器のない世界と核兵器廃絶をアメリカの国家目標とする」という宣言を発し、2ヵ月後の6月末には、イラクの都市部からのアメリカ軍の撤退は予定の通りに行われたという新聞報道がありました。
7月6日、オバマ大統領は、モスクワでロシアのメドベージェフ大統領と会談し、第1次核兵器削減条約の後継条約発効後7年以内に戦略核弾頭数は1675~1500、ミサイルなどの核弾頭運搬手段は1100~500の上限数を達成するとの共同文書に署名しました。
また、オバマ大統領は軍事費抑制のため最新鋭戦闘機F22Aラプターの調達を中止しました。このことについて大統領は退役軍人の集会(8月17日)で「軍が必要でないといっているにもかかわらず、既得権を持つロビイストや議員たちが兵器製造のために活動している」と述べたという。
いまだにオバマ・アメリカ政府はアフガニスタンでの「対テロ戦争」を継続していますが、総体的には軍縮・核軍縮の政策を明確に示し、個々の問題については、非軍事・交渉による解決を実行しています。その具体例はクリントン元大統領の電撃的訪朝で、この8月4日、クリントン元アメリカ大統領一行が朝鮮民主主義人民共和国を訪問し金総書記と会談の後、翌5日、拘束されていた女性記者二人を伴って帰国したことです。
この間の小牧基地とその周辺の動きはどうでしょうか。
5月13日の中日新聞は、主要空自基地では唯一ブルーインパルスを飛ばしておらず、イラク復興支援をトラブル無く完了したとの自負もあり、「精強な空自の象徴を見てほしい」との谷井基地司令の意向を伝えています。
6月7日、NHKテレビは、三菱などの軍需関連企業が取材を受け入れ、国の予算削減によって三菱の小牧南工場などは飛行機生産の受注が少なく、飛行機の修理が多くなっている。また、戦車のキャタピラー生産工場でも受注が減り、このままでは生産技術の継承もままならず、苦境を脱するために、軍需産業は武器輸出の解禁を望んでいると報道しました。
アメリカも日本も軍需産業は産業維持(利益、従業員・家族の生活)のために議会工作をし、マスコミを使って武器輸出解禁を求める報道までしていることがわかりました。
谷井小牧基地司令のブルーインパルスの小牧基地上空での展示飛行実施への意向はについて、二点を指摘し、展示飛行の中止を求めます。
一つは、「イラク復興支援をトラブル無く完了したとの自負もあり」とあります。しかしながら、「イラクでの空自の活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバクダッドへ空輸するものについては、イラク特措法2条2項、同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる」と名古屋高裁は判決し、この判決は確定しています。
谷井基地司令はこの名古屋高裁判決当時空幕主席法務官であり、裁判所の事実認定と憲法判断の重みを十分理解しておれば、およそ「トラブル無く完了した」とは言えないでしょう。この高裁判決の意味するところ、その重さを理解せず、田母神元空幕長のように、「そんなの関係ねえ」というような司法を無視してしまう見識では、危うい。
二つめは、県営名古屋空港周辺の春日井市民で構成する「春日井市飛行場対策市民協議会」からもブルーインパルスの展示飛行について、「飛行は危険を伴うので不安」、「住宅の上空を飛ぶことは容認できない」など住民から危惧の念が示されており、当然なこととして強行すべきではありません。
その日だけの観客や基地司令の意向で、周辺住民を不安におとしいれてはなりません。武士には謙虚さが必要です。

ブルーインパルスの展示飛行は軍縮の動きですか、それとも軍拡の動きにつながりますか。
この展示飛行を軍需産業は喜びますか、そうでないですか。
この展示飛行は地域住民を不安にしますか、そうでないですか。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
              住所 西尾市高畠町4-75-3