2009年6月27日


イラクでの空自の活動を公開し、その検証を求めます
イラクでの空自の活動が司法府から検証され、違法違憲と判断されました。行政府の命令に粛々と任務を遂行するだけでなく、当事者としてイラクでの空輸活動を検証してください。空輸実績の情報開示をしないまま、ブルーインパルスの展示飛行はご遠慮ください

航空自衛隊小牧基地司令 谷井修平様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

6月19日(金)午後の衆議院本会議で自民・公明党議員による、3分の2以上の多数で再可決し、憲法59条2項の規定により、海賊対処法が成立しました。この国の衆議院議員の多数は「海賊対策」に名を借りて自衛隊の海外派兵を強行したいようです。
海賊は海の強盗です。海の強盗には海の警察官が対処すべきです。日本でいうなら海上保安庁の出番です。
ソマリア沖に海賊がなぜ出没するようになったのか。1991年のソマリアの内戦により行政が機能しなくなり、ソマリアの沿岸警備活動ができず、警察権が及ばずソマリアの領海が外国の大型漁船の乱獲の場となる、あるいは廃棄物の投機する場ともなり、それを抑止する漁民の活動が、金のやり取りから、いつしか海賊とみなされるようになったといいます。
ソマリアの海賊対策ならば、直接的にはソマリアの沿岸警備隊の復活が、根本的にはソマリア国内の政治的、社会的安定のための経済支援等がとられるべきです。日本政府の対応としては、マラッカ海峡での海賊対策の実績を持つ海上保安庁の巡視船・職員を派遣し、ソマリアの人々によって沿岸警備ができるよう小型巡視艇を供与することです。海上自衛隊の出番ではありません。もちろん海上自衛隊に非があるのではなく、派兵命令を出した日本政府に非があります。
イラクでの航空自衛隊の武装した多国籍軍兵士の空輸活動に対して、イラク特措法2条2項、2条3項に違反し、憲法第9条1項違反すると名古屋高裁は判決しましたが、これも航空自衛隊・自衛隊員に非があるわけではありません。イラク特措法を制定し、空自をクウェートに派兵し、イラクでの空輸活動を命令した政府に非があります。
6月21日の中日新聞に「空自操縦士の退官急増 3年連続20人 イラク空輸影響か」との記事があり、“やはりそうか”と納得できそうです。      
退官者、2004年3人、2005年5人が、2006年、2007年、2008年と連続20人となり急増しています。2006年8月からは武装した多国籍軍兵士をバクダッドに空輸することになった空自のC130H輸送機は、イラクの武装勢力の標的になっても仕方ありません。特に戦闘地域でもあるバクダッド空港での離発着時の隊員の緊張感はいかばかりであったことでしょう。
アメリカ軍の一方的なイラク攻撃と占領に何の正当性もなく、政府の命令により空輸活動を遂行している空自隊員と輸送機3機のイラクからの撤退を望む私は、2006年3月より毎月第4土曜日の小牧基地への申入れを欠かすことなく、書面をもって申し入れしてきました。
2006年8月以降の、日本国内向けのイラク復興支援とは正反対の、武装した多国籍軍兵士の空輸活動に正当性もなく、それどころか、アメリカの軍事占領に対する武装抵抗(レジスタンス)組織からの銃撃やミサイル攻撃のおそれもあり、フレアやチャフを備えているとはいえ、操縦士らの精神的緊張・負担は大きかったことでしょう。「・・・事に臨んでは危険も顧みず、身をもって責務の完遂に務め、・・・」と書かれた『自衛官の宣誓』に署名した自衛官にとっては、命が危険にさらされることよりも、「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し」に違背する、武装した多国籍軍兵士の空輸活動が退官への契機であったかもしれません。
「ソマリア沖の海賊対策」、「インド洋での補給活動」や「イラクでの武装兵士の空輸活動」と「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命」との間には「風が吹けば桶屋が儲かる」屁理屈ではつながりますが、それらは政府が自衛隊に命令した任務であっても、『自衛官の宣誓』にある「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命」ではありません。単なるアメリカ政府への従属行為です。
『自衛隊の宣誓』に照らし、航空自衛隊のイラクでの空輸実績を明らかにし、空輸活動を検証して下さい。海賊対処法が成立し、海外派兵が拡大する昨今であるからこそ、自衛隊員が戦死しないために、海外派兵された当事者として検証してください。
<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
              住所 西尾市高畠町4-75-3