2009年1月24日


「イラクでの空輸任務の検証」についての申入書
航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

アメリカのオバマ新大統領は米軍のイラクからの16ヶ月以内の撤退をいうが、今なおイラクは戦火が続いています。そのイラクからの空自撤退と隊員の生還については胸をなでおろしています。
空自隊員に「自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動」が任務として再び発令されないために、イラクでの空輸任務の検証を求めます。
1月21日の『しんぶん赤旗』にエルサレム発の時事通信として「イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスはそれぞれ18日から停戦に入りました。同軍によると、同日夜以降はガザからのロケット弾発射が止まるなど、双方とも攻撃を控えているもようです。こうした中、イスラエルは軍事作戦で打撃を受けたハマスが再び軍備増強を図る事態を警戒。ディヒテル公安相はイスラエル放送に対し、“武器密輸は戦闘行為と同様だ”と述べ、確認されれば攻撃も辞さないとの方針を示しました。これに対し、ハマス軍事部門スポークスマンは今後も武器調達を続ける姿勢を強調しました。」との記事を載せている。エジプトとガザの国境地帯でのトンネルを通じての“武器密輸は戦闘行為と同様だ”とイスラエル当局は判断しています。
去る4月17日の自衛隊イラク派兵差止訴訟・名古屋高裁判決において、「航空自衛隊の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては、前記平成9年2月13日の大森内閣法制局長官の答弁に照らし、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる。よって、現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘区域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。」と判示されています。
もし、イラクの武装勢力がイスラエル軍と同様な判断と強力な兵器を保持していたら、航空自衛隊C130H輸送機は撃墜されていたことでしょう。全土が戦闘地域であるようなイラクでの空輸活動の任務に就いた空自隊員の皆さまは相当な覚悟をされていたことでしょう。
12月27日からのイスラエル空軍によるガザへの空爆、1月3日からの地上軍のガザ侵攻も空爆命令・侵攻命令に従い、粛々と任務を遂行した結果です。その実態は国連施設である学校までもが空爆あるいは砲撃され多くのパレスチナの人々が傷つき仆れという報道に代表される圧倒的なイスラエルの軍事力による「ガザの虐殺」という事態の発生です。「粛々と任務を遂行する」ことは命令以外のことについては判断を停止するということで、美しいことでも立派なことでもありません。
「武装した多国籍軍兵員の戦闘地域であるバクダッドへの空輸」任務は、大森内閣法制局長官の答弁に反し、イラク特措法にも違反し、憲法9条1項に違反する行為です。任務を遂行した航空自衛隊・隊員にとって、どうしてこんな憲法違反、法律違反が任務として命令され遂行されたのか、検証すべき重大な事柄ではないでしょうか。“そんなの関係ねえ”とか“我々は与えられた任務を粛々と遂行するだけです”などと言って、放置しておき、今後も同様な「任務」を遂行するとしたら、いつか撃墜されることになるでしょう。
“戦闘行為と同様な任務が今後、与えられないためにも、イラクから生還した今こそ、検証してください。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
              住所 西尾市高畠町4-75-3