2008年6月28日


航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申入書

航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様
航空自衛隊小牧基地隊員・家族の皆様

 今日もイラクの空を航空自衛隊C130H輸送機は飛行しているのでしょうか。武装したアメリカ軍兵士と軍需物資を空輸しているのでしょうか。バクダッド空港での離着陸はあの螺旋状軌跡を描く操縦をしているのでしょうか。イラク航空とロイヤルヨルダン航空しか離発着していないような安全が確保されていないバクダッド空港、日本人旅行者が入国できないイラク、アメリカ軍の占領下、アメリカ軍による「武装勢力」への武力制圧が行なわれているそのイラクは戦場そのものです。当時小泉首相は「自衛隊がいるところが非戦闘地域である」と言い放ちましたが、そうではなく、「イラクでは、アメリカ軍のいるところが戦闘地域である」と言うべきでしょう。
 ブッシュ大統領は「イラクには大量破壊兵器がある」、「フセイン大統領とアルカイダとは関係がある」などとの理由を挙げ2003年3月20日にイラクに先制攻撃を加えました。
 航空自衛隊の皆さん、もし、どこかの国・国々が「日本には大量破壊兵器がある」、「日本の指導者とアルカイダ(など)とは関係がある」などと情報つくり、全世界に喧伝した上で、一方的に日本に攻撃してきたらどうしますか。イラクはブッシュ大統領・アメリカ政府にそれをやられました。そのブッシュ大統領・アメリカ軍のイラク攻撃と占領を日本政府は支持し、その証として陸自と空自を派兵し、航空自衛隊が今なおアメリカ軍の兵站活動の一翼を担っています。
政治的にアメリカ政府から離反できない国々は、その度合いに応じて軍隊をイラクに派兵してきました。当初派兵していた30か国も、アメリカ政府・ブッシュ大統領のイラク攻撃に全く正当性がないことから、撤退が相次ぎました。派兵国も派兵自体が選挙の争点・政権交替の契機となり、新しいところではオーストラリアもついにハワード政権からケビン・ラッド政権に代わり、イラクからの軍の撤退を始めています。あのイギリス政府もイラクからの撤退の動きを見せています。国連参加国192カ国で今なおイラクに派兵している国は16カ国です。 
名古屋高等裁判所民事第3部は「多国籍軍の武装兵員をバクダッドへ空輸するものについては、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力行使を行なったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる。」、「現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。」と判示しました。
この判決をうけて、福田首相が「傍論でしょ」だとか、田母神航空幕僚長は「そんなの関係ねえ」と他人事に装っていましたが、政府と直接の当事者・航空自衛隊は司法から突きつけられた判決にきちんと応えなくてはなりません。それが三権分立のこの国の立憲主義、そして民主主義というものです。
イラクでの空自の活動に対して憲法違反の判決が出されたとき、判決の判断に誤りがなかったならば、空自をイラクから即刻撤退させるのが福田首相・日本政府のすべきことです。裁判所の判断に誤りがあるとするなら、イラクでの空自の活動実態を国民の前に明らかにすべきでしょう。 
石野次男小牧基地司令は朝日新聞(5月28日付)で「違憲判決ではなく、違憲判断。判断が出ても、どうこう言う立場にはありません。我々は与えられた任務を粛々と遂行するだけです。隊員への影響はありません。他国と汗を流し、隊員のモラルも高く、高い評価を受けています。日本のためになっていると自負しています。」と「違憲判決」の4文字をあえて避けています。判決文をよく読めば分かりますが、空自のイラクでの空輸活動は上の引用文にあるように、「…かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。」と違憲の判断をした判決です。すなわち違憲判決です。
社民党の照屋寛徳衆議院議員の自衛隊員の自殺に関する質問に対する、内閣総理大臣の答弁書(2007.11.13)には、「…テロ対策特措法又はイラク特措法に基づき派遣された隊員のうち在職中に死亡した隊員は、陸上自衛隊が14人、海上自衛隊が20人、航空自衛隊が1人であり、そのうち、死因が自殺の者は陸上自衛隊が7人、海上自衛隊が8人、航空自衛隊が1人、…」とあります。
テロ特措法で、イラク特措法で自衛隊員が海外派兵されていくことに対して、元防衛政務次官の箕輪登氏が、我自衛隊を愛するがゆえに海外派兵に反対するとの意思を示し他界してはや2年、レバノン大使天木直人氏が派兵で日本の評価が決定的に悪化したことを当時の小泉首相に進言し職を免ぜられてから5年、2002年からの海外派兵任務に従い、在職中に自ら命を絶った自衛隊員、名古屋高裁が違憲判決を出さざるを得ない空自のイラクでの輸送任務について、石野基地司令が「高い評価を受けています。日本のためになっていると自負しています。」言われていますが、それでは、60数年前の「オ國ノタメニ」と同じではないですか。本当にそうなのか、自らの言を検証してください。
一昨日、朝鮮民主主義人民共和国が核開発計画の申告書を提出しその既存の核施設の無能力化の証拠として、昨日、冷却塔を爆破しました。16万の軍隊でイラクを戦場にして5年、一方、ヒル国務次官補一人で、朝鮮半島の核廃棄・軍縮と東アジアの平和に成果を上げるアメリカという国。武力ではなく、外交交渉でこそ平和がつくれることをブッシュ大統領は世界に示しました。
武器でなく 外交交渉 したたかに 成果は見えし 冷却塔消ゆ

空自のイラクでの空輸の実態と世界の動向を見極め、当事者としてイラクの空から撤退するよう福田首相に具申してください。

<ノーモア南京>名古屋の会 事務局 
              社民党愛知県連合副代表   平山良平  
               住所 西尾市高畠町4-75-3